このコラムではスピーチを控えた皆様や
人前で話す皆様向けの記事を掲載しています。

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今回のテーマは「面白いことを言わなければ症候群」。

皆様は人と話す際や、録画等の際に
「何か面白いことを言わないといけない」
と思いこんでいませんか?

サービス精神旺盛な方は反射的にこのように
「何か面白い事の一つも言わないと…」
とお考えになるようです。

けれど落ち着いて考えると、
誰もそのようなオーダーを出していないはず。
実体のない場の雰囲気
で右往左往となるケースが大半なのです。

私はこの状態を「同調圧力」の一種だと考えます。
個人的には「何か面白い事言わないと症候群」
などと名付けていますが、皆様もこのようなご経験は
多かれ少なかれあるのではないでしょうか?

特に最近は録画状態でスマホやビデオカメラを向けられて
「何か面白いことを一言言わねば…」
というケースも多い気がしています。
これも実体のない「同調圧力」そのものですよね。

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もしも「面白いことを言わないと…」という状態で
場の雰囲気に流されて話すとどうなるか?

落ち着きのないまま、話す内容もまとまらないまま
場の雰囲気にのみ込まれるように思いつきで言葉を話す…
ウケを狙って本意でない発言をしてしまう…
結果として、周囲の反応は薄い… 
「つまらないことを言ってしまった…」
「ああ、やってしまったー」などと後悔 …

というのはありがちなパターンですよね。

私自身、ラジオの情報ワイド番組で、
場を盛り上げるコメントが必要な時に
この「場の雰囲気にのまれた状態」を幾度となく経験し、
何の面白みもないフリートークを重ねた苦い経験が多々あります。

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この「面白いことを言わなければ症候群」は、
その場の人間関係や序列などでも左右されます。
年上の人物や上司らに従うように、
「本意でないが、道化と化して場を盛り上げる」
というケースもよくありますよね。

なので一筋縄ではいかないことが多いのですが、
私なりに対処法をご提示したいと思います。

今回は3つの対処法を提示します。

1 「迎合しない」という選択肢を作りましょう。

 勇気のいる対応ですが、「迎合しない」
 という選択肢はとても有効です。
 「はしゃいだ雰囲気の発言は一切しない」
 「無理をしてまで相手に合わせない」

 という選択肢を持つことで、話の主導権をキープできます。

2 アサーションの要素を取り入れましょう

 「アサーション」は「健全な自己主張」の要素。
  ご自身を守る健全な自己主張です。
  なので、面白い発言を求められた時も
 「私はタレントや芸人ではありません。」
 「ウケねらいの発言は言いたくないので言いません」
 「たとえ場がしらけてもそれが私のスタイルです」
 「私には失敗をする権利もあります」
 という姿勢をキープすることが大事です。

3 専門分野にこだわりましょう。

 専門分野・得意分野の話題は、誰もがいっぱい話せるはず。
 強引に話題を転換してでも、
 「自分の得意分野で例えると…□□です。」
 「私の専門分野の情報でいえば…△△ですね」
 など、自分の土俵で勝負することも有効です。

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これらの話すスキルは、一見
「サブい」と冷笑されそうですが、むしろ逆。
結果として「一目置かれる存在」となり、
心のゆとりが生じ、話自体も「面白いもの」になるのです。

テレビ番組で言えば「アメトーーク」が好例です。
あの番組ではタレントの皆様が、本気になって
高校野球やコミックスの話などをしていますよね。

「大事な話をしているから邪魔するな!」
と言わんばかりの表情で話す姿は、ついつい笑ってしまうもの。

大事なのは、話す際にブレない事。

心のブレの無い状態を作って話すことが大事なのです。
何か面白いことを話さないと、などとブレたら負けなのです。

徹底的に専門分野にこだわって、一生懸命力を注いだことを話せば、
思いや言葉があふれるような状態になるはずです。

そのときの皆様の表情の輝きや、経験に裏付けられた自信
さらに言葉の節々から出る熱量こそが、
結果として「面白いこと」そのものとなるのです。

なので「なにか面白いことを話さないと…」
というのは実は全くの無意味な思い込み。
「思い付きで話した面白そうなこと」は底が浅く、
誰の心にも響かず、消耗品的な話として消えるだけなのです。

まとめです。
面白い話はしない、という選択肢。
私はタレントではない。失敗の権利もある、という健全な自己主張。
自分の得意分野から話を広げる、という専門分野へのこだわり。

これが結果として他者を圧倒する「面白い話」につながります。

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ご参考までに私のケースも申し上げましょう。
私の場合はラジオドキュメントの脚本演出のエピソードです。

・ストーリー作りは縦軸と横軸、
・放射思考でエピソードをまとめた、
・朝4時までは作業可能。朝5時になると支障が出た…
・台本は3か月で27回書き換えた

・制作費削減のため各地の図書館で資料を探しまくった…
・大学図書館の閉架資料で70年前の貴重な証言を見つけた…
・音声編集ではフリーソフトを3種類併用した…
・受賞会場はすごいセットの華々しいステージだった…
などなど…

この話、2時間でも3時間でもいくらでも話せます。
私の専門分野どころか、ラジオドキュメントの脚本演出で
受賞までさせていただいた当事者だからです。

ただこの話をすると、ものすごくウザがられるのと、
グイグイと食いついてくる方と両極端になるので
私の場合は場と相手を選んでおります。

背伸びをせず、格好つけず、変なウケねらいをせず、
地に足の着いた状況で話す内容を選びましょう。

皆様のフリートークのご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)

この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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